第25回日本ヒト脳機能マッピング学会

ご挨拶

顔写真

第25回日本ヒト脳機能マッピング学会

会長 前澤 聡

(名古屋大学 脳神経外科准教授・脳とこころの研究センター)

拝啓 時下、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

 この度、第25回日本ヒト脳機能マッピング学会を2023年2月24日(金)、25日(土)の両日、名古屋市のウインクあいち(愛知県産業労働センター)にて開催することになりました。
本学会は、最先端の脳機能計測および可視化技術と、脳深部電気刺激、磁気刺激、超音波を使ったニューロモデュレーション、頭蓋内脳波記録や覚醒下手術マッピングといった脳神経外科手術から得られる多角的な最新の知見を共有し、神経科学の発展、および次世代の臨床に貢献する事を大きな目的としております。神経基盤の解明に向けて日々研究を続ける脳科学者や心理学者、関連技術開発を目指す工学・情報学の研究者、そして実際に中枢神経疾患の診療に携わる臨床家が領域を超えて集まる会ですので、今回のテーマを「脳をめぐる研究と臨床のセレンディピティ」といたしました。セレンディピティという言葉は、「偶然の出会いや発見が、思わぬ良い結果をもたらす」という意味です。まさに本会がその様な場になる事を望んでおります。

 コロナ禍もまだまだ落ち着かず、また、ロシアのウクライナ侵攻など不安定な世情と思います。この様な状況で脳科学に携わる我々はどの様な方向へ進むべきなのでしょうか?ユヴァル・ノア・ハラリの「ホモデウス」には、サピエンスはテクノロジーと融合し、不死と幸福、理性を目指して、自らをアップデートしていくとあります。メタバースと呼ばれる仮想現実世界でアバターとして生活を送る若者も増えています。それぞれが今後の方向性であり、是非を問うのは簡単ではありません。しかし我々脳科学者が生み出す成果は、このような方向性に影響が多大です。我々は進むべき道をしっかりと見定めるべきでしょう。今回の学会がこの様な議論のきっかけになれば幸いです。諸先生におかれましては、周囲の若手の皆様にも広くお声掛け頂き、沢山の皆様に演題の応募とご参加を頂けますようお願い申し上げます。

 末筆ながら皆様の一層のご発展を祈念いたしております。

敬 具